秘密のカンケイ

その空気がいやだったから、思いっきり大げさなくらいため息ついちゃった。


快斗ったらビクッて身体震わせるんだもん。

どれだけ驚くんだよって話だよね。

ため息ついただけなのに。



でもね、顔をあげた快斗がとても切なそうにしてて…

こっちまで切なくなっちゃった。


心臓がぎゅって鷲掴みされたように痛くて、眉間にシワがよっちゃったよ。




思わずその空間から逃げたしたくなって、立ち上がろうとしたの。

だってそのまま快斗のそばにいたら泣いちゃう気がして。

好きって叫びそうになって。

快斗の腕の中に飛び込みそうになって。


でも相手には好きな人がいるわけだからそんなの無理だしって思ったら、やっぱ逃げるしか選択肢なかったんだよね。




だから逃げちゃった。


部屋からも、快斗がいる家からも。



一人で夜道をとぼとぼ歩いた。

どこに行くわけでもなく勝手に足が動くままに。


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