秘密のカンケイ

鉄筋コンクリート造りの学生マンションは少し古くてオートロックなんて洒落たものはない。


だけど男の独り暮らしだからって不便とかなくて困るものではないらしいから、たまに来るぶんにはいいんだけどね。






心臓が痛い。

それはドクドクと身体中に血が流れるのがわかるくらいに心臓が大きく脈打ってるから。


腕を動かしながら大きく深呼吸すると少しは緊張が落ち着くかと思いきや全く効果はないように思える。

だけど、ドアの横についてあるインターホンを押すぞっていう意気込みだけはもてた。




よし!

ここまで来たんだし後戻りは出来ないし、それにもうハルを待たせたくない。




震える人差し指をゆっくりとインターホンまでもっていく。


ぎゅっと目を瞑るともう一度深呼吸して音が鳴るまでボタンを押した。



部屋の主に来客がきたと伝える音が部屋の中から小さく聞こえた。



ドキドキ


ドキドキ


顔が熱い。


胸が痛い。


これがハルへの気持ち。



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