秘密のカンケイ
私服に着替えて扉の前で一回深く深呼吸してからもう一度覚悟を新たにして扉を押した。
1年ぶりだろうか。
こんなに近くで彼をみたのは。
スッとした彼の鼻筋もほのかに色ずく薄い唇も何もかも変わらない。
だけど、なんか違う気がするのはきっと窶れたからだと思う。
頬の張りがなくなったというか、とりあえず老けた印象をうけた。
「…ハル」
久しぶりに呼んだその名前は胸を締め付けるのには十分だった。
これが愛しさとかならまだしも、そんな感情なんて全くわかなかった。
今、この胸を支配するのは、悲しみ、憐れみ、…同情。
わたしは―――――…
ハルを好きなわたしじゃない。
ハルが好きだったわたしでもない。