秘密のカンケイ

入ってすぐのとこにベッドがあるからドアを開けたら優斗がいるか確認できるはずだった。



だけどいるはずのベッドには誰もいなくて、珍しくシワシワになってる布団が無造作にベッドの上に放り投げてあった。


それでも廊下からの明かりじゃはっきりとは確認できなくて、「失礼しま~す」と小さく言って中に足を踏み入れる。



ベッドに近づいてもやっぱり優斗はいなくてどこにいるのか不安になる。

ベッドの上に手を当ててみてもそこは温かさなんて微塵も感じられなくて、そこにいるはずの人が長時間いないってことを教えてくれた。


ダイニングキッチンにもしかしたらいるのかもしれないと思って、万が一にもわたしを待っててくれてるのかもって思って、少し浮き足だって踵を翻した。



でも、

「……………っん」

優斗の部屋の中から聞こえてきたうめき声みたいな小さな音がわたしをその場に止めた。



声の聞こえた方を振り返る。


テレビの前のソファー。

無操作だと2時間で自動に切れるテレビだったと思い出して、ソファーの背もたれから少しだけ見える黒い物体に涙した。




待っててくれてた…


それが胸をぎゅっと締め付けて、でもそれが嬉しくて温かくて。

寝てるけど、きっとわたしが帰るのを待っててくれた形跡がちゃんとあった。



優斗のところに近づいて、だらしなく床に落ちてた手をもって両手で包み込んだ。


「…優斗」

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