秘密のカンケイ
「…ん……、さく…」
もぞっと優斗の体が動いたかと思うと、ゆっくりと上体を起こしソファーの背もたれに寄りかかるような体勢になった。
視線は私に向いていて、まだ寝ぼけているのか目をこすって、
「…おかえり」
そう言ってほくそ笑んだ。
思わず優斗に抱きつく。
背中に腕をまわしてギュッと皺が出来るくらいシャツにしがみついた。
そこで気付いた。
ハルに会う前と一緒の格好でいることに。
「お風呂は…?」
「待ってたら寝ちゃったみたいで…」
優斗は背中と頭の上に手を置いて、受け止めてくれた。
「…泣いてんの?」
泣いてるけど泣いてるなんて言えなくて、優斗を見てホッとしちゃってなんて口が裂けても言えなくて、優斗の胸にすりつけるように頭を左右に振った。
「…そっか、頑張ったんだね」
「…うん」
「偉いよ」
そう言って頭をポンポンと数回優しく撫でてくれた。
「ごめんね、明日仕事なのに起しちゃって」
「待ちたかったから待ってたんだよ。寝ちゃったけどね。だから今日中に顔が見れてよかった」
こんなこと言ってくれるなんて。
どうしてこんなに優しいんだろ。
だから素直に、
「ありがとう」
って言えた。