秘密のカンケイ
そんな心配なんてしてるわけないって思ってた。
ううん、そう思わなきゃ平常心に戻れなかった。
だって追いかけても来てくれなかったから。
でも、ここに優斗だけじゃなくて快斗先輩も奏さんもいる。
それが嬉しかった。
この涙は悪いことしたとか悔し涙とかそんなんじゃない。
人の温かい気持ちに触れて嬉しくて涙が出てくる。
「ケータイくらい持ってでていきなさいよ」
「ごめ…なさ…」
「連絡とれないし、何かあったんじゃないかってすごく心配したんだよ」
うん。
今のこの状態みたら分かる。
ケータイがないのも歩いてる途中で気付いた。
でも取りに帰る気にはなれなかった。
泣いてる顔を見られたくないからって奏さんの肩にうめていた顔をあげると顔を歪めた優斗がいた。
本当に疲労しきった顔でわたしをじっと見てる。
優斗に謝らなくちゃって思って、奏さんから少しずつ体を離して優斗に一歩ずつ近寄っていく。
手を伸ばせば優斗に届く距離。
「ごめんなさい」
目は見えなかったけど、優斗の鼻付近を見て言った。
その後に響いた乾いた音と刺激を受けて少し動いた体と激痛のはしる頬。
「それはなんの謝罪?」
そう冷めた声がわたしの鼓膜を振るわせた。