秘密のカンケイ

「香織さん、行ってきました」


「ありがとう。休憩行っていいわよ」


「はい」


わたしは優斗の家を出て隣の県まで離れた。

もちろん仕事も変えた。

そして、ケータイも変えた。


わたしはみんなから離れた。



可奈さんには仕事は続けると言ったけど、そうでも言わなきゃ納得してもらえないと思ったから。


ホントは引っ越したら辞めるつもりでクリニックの方には話を通していた。

優斗には黙っておいてってことは伝えて。



優斗の休みの日に一度クリニックに行って挨拶だけ済ませたからクリニックの方はなんとかなった。


優斗の部屋で暮らしてた分、部屋を借りる頭金くらいは貯まっていた。



今の職場は求人広告の雑務のパートとして入ってけど頑張ったおかげで正社員雇用に社長がしてくれたからそのまま働いている。

この職場ってゆるいし、楽だし、面倒くさがりな人がいっぱいいるけど、いい人ばかりで楽しい。




もう2年。

長くて苦しくて寂しくて心が凍えそうになった2年だった。



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