秘密のカンケイ
実は優斗に声をかけられたのが会社を出てすぐにある十字路の大きな交差点の近くだった。
つまりはそこを通らなきゃ会社にはつけないってこと。
優斗がいませんように…
優斗がどうかまだ待っていますように…
そんな反目し合う感情だけどどちらがより大きいかなんてすぐにわかる。
だけど認めたら優斗がいなかったときにすごくすごく悲しくなるだけだから認められない。
認めたくない。
ほら、あの場所に近づくにつれて胸が痛いくらいに動きはじめる。
鼓動が速くなる。
手に汗がじわってうかぶ。
顔も紅潮してるのかすごく熱い。
わたしはさ、幸せな未来をいつも想像してるの。
優斗がいて、わたしがいて、子どもがいて、みんな笑顔でみんなが楽しいって思えるような生活を送ってる。
そんな夢をね、いつも想像するくらい優斗が生活の一部であり、わたしの一部だった。
だから、そんなわたしに期待持たせちゃダメなんだって。
期待するだけ無駄…
そう思わせてよ。
あの角を曲がればあの交差点が見渡せる。
早歩きになったり、でもやっぱり遅くなったり、でもやっぱり早くなったり…
どこまでも落ち着かない。