秘密のカンケイ
この場で抱きしめたい。
抱きつきたい。
そうは思っててもできなかった。
その理由を察したのか奏さんは黙って立ち上がると、座布団で寝ていた桜斗を抱き上げ部屋から出て行った。
その瞬間に声を上げて優斗に抱きつく。
今までの擦れ違いとか自分の情けなさとかいろいろ感情的になるところもあるけど、今は誰よりも優斗の近くにいたい。
そう思ったんだ。
この2年間でわたしは大きな勘違いをしていた。
この2年間、優斗がいなくてもなんとかやっていけたから大丈夫だと思っていた。
優斗にわたしの存在の大きさを見せつけてやろうと思っていた。
だって、優斗は何も言ってくれなかったから。
でもそれもわたしのちっちゃな威勢にすぎなかった。
今思い知ったよ。
わたしは優斗がそばにいなきゃだめなの。
優斗がそばにいるからわたしらしかった。
なんで離れられたんだろう。
なんで離れることを選択してしまったんだろう。
優斗がそばにいないことにどうして慣れてしまったんだろう。
好きなの、好きなの、好きなの。
言葉が口から流れるように溢れ出す。