秘密のカンケイ
「じゃわたしあっちだから」
笑って先輩の家とは反対方向を指差す奏さん。
「あの…」
「ん?」
「あの…、寄って行かないんですか」
一体何がしたいのか。
奏さんにどうしてほしいのか。
何を求めてるんだろう。
こんなことを言っておきながら、奏さんが寄って行くって言ったら虚しくなるのはわかってるのに。
先輩と奏さんの空間に入っていけなくて悲しくなるのは目に見えてるのに。
「ううん、今日は遠慮しておく」
「そう、ですか」
ほら、やっぱり。
来ないって言われてほっとしてるじゃん。
「じゃまたね」
「はい」
笑顔で手を振る奏さんにわたしも応える。
奏さんが背を向けてあるき始めたからわたしも先輩の家の方を向いて歩く。
こんなに惨めな気持ちになる。
こんな惨めな気持ちになるのは彼女が現れたからだ。
彼女がいなかったら…
そう考える自分に腹がたつ。
ただ、先輩と彼女の関係に嫉妬しているだけ。