秘密のカンケイ

先輩の部屋番号を押してインターホンで先輩が出てくるのを待つ。


先輩の「はい」っていう言葉を聞いて、「さくらです」って返事を返すと自動でドアが開いて中に入る。


エレベーターの中でホントに一人で来てもよかったのか、そんな自問を繰り返している内にエレベーターのドアは開いていて早く出ろと急かしているように思えた。


先輩の家のインターホンを鳴らすのが億劫になる。


鳴らそうか、ためらう。


ボタンの上に指を乗っけているものの、まだ押してはない。


頭の中に浮かぶのは、

奏さんの顔と、

先輩の奏さんを見ている時の顔。


わたし一人で来ていることが、先輩の期待に背いてる気がする。


先輩はわたしよりも奏さんに会いたくて、もしかしたら、わたしが奏さんを連れて来るかもしれないって思っているかもしれない。


そんな期待をしているとしたら、わたしはそれに応えてあげられない。


それなのに、このインターホンを押してもいいのかな?


わたし一人しかいなくて、先輩にがっかりされたらどうしよう。


そんなことをもう何度思っただろう。


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