秘密のカンケイ

この通路をすぐ曲がればトイレなのに足は接着剤でも塗ったかのようにそこから動かなかった。

そしてわたしの背中の向こうで足音とあの人の声が段々と大きくなってきてきるのに気づいた。



ダメ、動かないと。

そう頭では分かっているのに体は思うように動かない。


近づいてくる足音と声に心臓の鼓動は大きく強く拍動する。

痛いくらいに、そして周りにも聞こえてしまうんじゃないかってくらい心臓は悲鳴をあげてる。


心臓も警告してるんだ。

動かないと会ってしまうと。


会ってしまうと、動いてしまうと。

あの人との終わった時間が――…


< 97 / 262 >

この作品をシェア

pagetop