センセイ
出会い
今年はあたたかくなるのが早くって、
だから、入学式の日には、
もう桜は散っちゃってた。
校門から校舎まで続く桜並木、
花びらはもう少しだけしか残ってなくて、
だから余計に、気分盛り上がんなくて。
「おはよう、ミナミ」
生徒や保護者で溢れかえっている中。
校門のそばで、アヤとカオリがおしゃべりしてる。
アヤはあたしに気づいて手をふる。
中学とまるで変わんないメンツ。
安心するような、退屈なような、複雑なキブンだ。
「おはよ」
アヤはもうさっそくスカートの丈、短くしてる。
中学の頃も、誰よりも短かった。
そりゃもちろん、そのままじゃあダサすぎるし、
あたしももちろん短くはするけど、
でもアヤほどじゃない。
アヤはいつもギリギリ。ほんっとギリギリ。
それでよく教師にしかられてたけど、
いっつもアヤはへらへら笑ってる。
あたしは教師しかられたら、すごく腹が立つ。
殴ってやろうか、って思っちゃう。
まあ、実際には殴んないんだけどさ。
だから、しかられてもどうでもいいって感じのアヤは、
かっこいいなあとも思うし、
バカなんじゃないのとも思う。
「髪染めたの?」