センセイ
あたしが聞くと、アヤはうなずく。
「うん、かっこいくない?」
「しかられても、しんないよ」
「いんだよ、べっつに」
そう言って、クチビルをとがらせる。
アヤの短い髪は、ほとんど金髪の、
すごく明るい茶髪になってた。
これじゃあ入学早々、大目玉くらうに決まってる。
「でもアヤちゃん、にあってる」
そうやって隣で人よさそうに笑ってるのがカオリ。
アヤに比べるとずっと地味で、
髪はもちろんまっくろでロング、
スカートはひざ丈っていう。
顔は整ってるんだけど、いわゆるダサ子。
まあ、なんだっていいけどさ。
「でっしょ!」
アヤがイェーイって大声で笑う。
中学のときから、あたしたちは三人組。
アヤとカオリは幼馴染らしいけど、
あたしは別に大の仲良しってんでもなくて、
でもなんとなく二人といっしょにいる。
別に他におもしろい奴らがいるわけでもないし。
「もう入学式はじまるんじゃないの?」
あたしが言うと、
二人も時間を気にして、腕時計を見る。
「やっべ、体育館行かなきゃ」
アヤが叫ぶ。
あたしたちは入学式が行われる予定の体育館に向かって、
三人でぞろぞろ歩きだした。