センセイ
体育館の中は生徒でごった返してた。
入口でうわばきに履き替えて、
受付でクラス分けのプリントをもらう。
「アヤ、Cクラス! 二人は?」
アヤが言う。
「わたしはAクラス。残念、はなれちゃった」
カオリがまゆ毛をハの字にする。
「ミナミちゃんは?」
プリントの名前を確認する。
えっと、
「カオリとおんなじ」
「ほんと? やったあ」
カオリがにこにこすると、アヤは途端にふくれて
「ひどい! なんで三人一緒にしてくんなかったのよー。
先生だって三人ナカヨシってわかってんじゃん、ばか!」
と大きい声でわめいた。
するとその場にいた数人の保護者がその大声に驚いて、こっちを見る。
みんな、アヤの明るい髪にびっくりしてる。
目、丸くしちゃって。びびってるんだ。ばかみたい。
アヤは一人Cクラスの席にすわって、
あたしとカオリあ二人で並んでAクラスの席にすわる。
しばらくしたら、入学式がはじまった。
校歌斉唱、校長のアイサツ、入学式はサイテーにつまんない。
カオリのやつ、はげ校長のアイサツ、妙にマジメに聞いてるし。
あーあ、やってらんない。
遠くのCクラスでは、アヤがやたらと目立ってる。
黒髪のむれの中に金髪が一人。
あたしは腕を組んで目を閉じた。
眠ってる間に入学式なんて終わっちゃえばいい。
「これを祝いの言葉にしたいと思います」
とかなんとか、
そんなことを言って校長が引っ込んだのを最後に、
あたしは眠りの中に落ちた。