センセイ
「びっくりした! ダレよ」
驚いて声をあらげると、
男はにっこり笑って答えた。
「副坦の緒方です。
さっき紹介されたはずなんだけどなあ?」
「えっ」
「僕を知らないなんて、もしかして君、
入学早々いねむりしてたんじゃあないですか」
イジワルそうな顔で言う。
そして突然口調をコロッと変えて
「せっかくのクラス写真なんだから、
バックれてないで参加しろよ」
と頭を小突いた。
「聞いてたのお?」
「聞いてたのお? じゃないよバカ」
そう笑いながらバカといわれて、ぶう、とふくれていると、
カオリがおろおろして言った。
「ね、ミナミちゃん行こう」
「ああ、うん……」
「校門のとこだからなぁ、急げよー」
その緒方とかいう副担はそう言って軽く手を振り、
一人さっさと先に体育館をでていく。
「なによ、あの教師。ばかにしてえ」
ふくれっ面でつぶやきながら、歩き出す。
「でも優しそうな先生だね。若くてアヤちゃんの好みっぽいな」
カオリが言う。
「まあ、確かに多少は男前だけど・・・・・・」
あたしが不服そうに言うと、カオリはくすっと笑った。