ice doll


オレは面倒だから答えた

「三組なんて知らねーよって言った」


嘘は付いてない

だけど叩かれた


「嘘つくなよ?臭いがやばいって聞こえたぞ」


オレは言ってねぇよ


「お前、ふざけるなよ」
「何が?」
「人の心を傷つけといて……」
「あのさ、オレの声だったのか?」
「ああ?」
「オレの声で君の心を傷つけた声が聞こえてんのかって聞いてんの」
「そういや、お前……声が低いよな」
「甲高かった気がする」
「人違い」
「へぇ、人の顔を傷つけといて、人違いとか……なんなんだ」

呆れて痛み出す頬を抑えながらオレは廊下を歩き出した

「悪かった……先生には内緒に……」
「引っ張るな、痛いから保健室に行くだけだ」
「……本当に悪かった」
「たく、謝ったから許して……」
「本当か!!」
「……お前、バカじゃね?殴られたのに許すわけねーよ……痛いし」


あの時のオレは捕まらぬように保健室へダッシュした





< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop