ブスの片想い
あたしは、家とは反対の道を走った。
学校をも通り越して向かった先は、
吉野先輩の家だった。
それしか、考えられなかった。
チャイムを力強く押す。
全部の気持ちをぶつけるように。
ガチャリ、と開いたドアの向こうには
驚いた、先輩の顔。
・・・無謀だと、知っていた。
「あの・・・っ!」
無謀だと、分っていた。
「先輩のこと、好きです・・・っ」
叶わないと、理解し過ぎるほど
分っていたのに。
「ごめん・・・
唯佳が、好きだから・・・」
だって、2人は最初から、
愛し合っていたんだもの。