ブスの片想い


あたしは、家とは反対の道を走った。

学校をも通り越して向かった先は、



吉野先輩の家だった。


それしか、考えられなかった。


チャイムを力強く押す。

全部の気持ちをぶつけるように。



ガチャリ、と開いたドアの向こうには

驚いた、先輩の顔。


・・・無謀だと、知っていた。


「あの・・・っ!」


無謀だと、分っていた。


「先輩のこと、好きです・・・っ」



叶わないと、理解し過ぎるほど

分っていたのに。










「ごめん・・・

 唯佳が、好きだから・・・」



だって、2人は最初から、


愛し合っていたんだもの。





< 101 / 162 >

この作品をシェア

pagetop