ブスの片想い


「サキ・・・、

 何を、知ってるの?」

決定的な言葉が、空間を歪ませた。

「・・・・・っ・・・!」

「唯佳を、暗闇に落としたのは・・・」


夕暮れの空に、カラスが飛んでく。

四方八方ある、山のどれかに。


鳴き声が、しずんだ後、

「・・・唯佳を、苦しめたのは、誰?」


あたしが、重たく、

口を開いた。


もう、乾いた頬はむずかゆくて。

少しだけ、濡れた睫毛は、

視界をぼやけさせた。





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