キャンバス
いきなり長谷川は私の両肩を掴んできた


「…痛…っ」



「俺は沙良の近くに最近になって桜木がいるのに気がついた

だから、桜木に取られる前に勝負に出たんだ!

なのになんで!」



「ちょっと…勝手に陽介を巻き込まないで」



「何でアイツなんだよ!
なぜ、アイツの名前を出すんだ!!」




ヤバい…
莉香に電話しないと…

でも、肩を強く掴まれていてケータイが出せない

しかも、私の力で振り切って逃げることも出来ない


「俺はずっと前から沙良が好きだったのに!!」


もっと強く両肩を掴まれ

激しく揺さぶられた



肩が痛い


男の怖さを今知った


長谷川に私の世界がぐちゃぐちゃに染められていく



あんなにたくさんのきらきらとした毎日が続いていたのに




不意に一気に陽介の顔が浮かんできた






陽介、助けて!!







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