キャンバス
はぁ−… はぁ−…


さすがに…キツい…



あれから一気に屋上から1階まで階段を駆け降りて行き

今はサッカー部の部室前にいる


「はいよ」

陽介は缶ジュースを買ってきてくれた

私の好きなリンゴジュースだった


「沙良、大丈夫か?」


「うん…
何で知ってたの?」


「ああ…見るつもりはなかったんだけどな
でも、見えちゃってさ

沙良がなんか暗い表情になってたし、心配で」


隠してたのに意味なかったってことね


「勝手に見てごめん」


「ううん…助けてくれてありがとう」


さっきより落ち着いた
でも、あの時の怖さが残っている



「沙良」


陽介は私の顔を真っ直ぐに見つめてきた


「もし、アイツに何かされたら俺に言えよ
きっと沙良の力になれるはずだから」


そう言って軽く抱き寄せ
頭を撫でてくれた


「うん、ありがとう…陽介」


陽介の優しさが嬉しかった


すごく温かくて涙か溢れ出てきた





一度、壊された私の真っ白な世界



今、少しずつ陽介の手によって元に戻っていくのを感じた



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