キャンバス

俺はここまできてある事を思った



今まで沙良に無理やり近づいて来る長谷川を悪人のように思っていた


でも、今になって考えると自分もある意味で沙良に無理やり近づいているんじゃないか？



沙良からすれば俺を好きとかそういう感情で見ていないはず


俺が勝手に好きになって、勝手に沙良にとって大切な友達になったつもりでいる


俺は彼氏じゃないのだからスタートラインは長谷川とあまり変わりがない気がした



キーンコーンカーンコーン

ベルがなった…



それでもこの気持ちを捨てられない


今、少しでもアイツと同じになりたくなくって最後に沙良に言っておきたい一言があった


それが


『俺は沙良の力になれればそれでいいから』だった