キャンバス

「ここに上がれんのよく知ってたな
俺だけだと思ってた」


「うん、まあね…
1年の時に気づいた」


「ここっていいよな

こんなに満開の桜を上から見れるんだから

俺、名字に桜が付くからかも知れないんだけど桜が好きなんだよね

親近感があるんだ

よくダチに似合わないって言われんだけどね…

水野は桜は好きか?」



へー見た目チャラチャラしてそうだけど、桜が好きだなんて意外だなぁ



「私も桜は好きだよ
春っていう季節自体好きかな」


まぁ、四季の中で一番ゆったりと落ち着いている季節だからね



「あ〜なんか分かる気がすっかも
なんつーの、春って新しいスタートって感じだし、生まれ変われる気がして新鮮だもんな」


そんな風に考える人なんだなんだか面白い人



ぷっふふふ


「今、笑ったろ!」
彼は睨み付けてきた



「え?ああ、ごめんね
あまりにも意外で」
私は笑いながら言った



彼は顔を赤くした



「あんまこんな事を口にしないんだからな
恥ずかしいから他のヤツらには言うなよ!!」



「分かった、内緒にしてあげる
それじゃ私そろそろ教室に戻るね」



私はスッと立ち上がった



「今日からよろしくな水野沙良

俺は桜木陽介!陽介でいいから

よろしくな」


彼はニカッて笑いながら言った



「こちらこそ、よろしく」

私も笑って返した



こうして私の中の真っ白な世界が色づき始めた


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