さよなら、神様
儚いものに美しさを感じてしまう自分が嫌いなんだ。

色々な声が聞こえる。

中退なんて…
我が校の歴史…
将来のことも…

聞こえる。

でも聞こえない。

あたしは黙ったまま、髪に絡んだ花びらをつまんでいく。

一枚、二枚。
握り潰し、殺していく。

花びらは声もあげず死んでいく。

あたしは、こんなふうに、ゆっくりと死んでいくなんて嫌。

だから、この学校という小さな世界から抜け出すことにしたんだ。

何度も考えた事が頭をぐるぐる回る。

「迷惑をかけて申し訳ありませんでした」

たぶん、迷惑をかけているのはあたしなのに、謝ったのは父さん。

頭を下げた背中は、いつもより弱々しく、悲しそうだった。

仕事に行く時と同じスーツなのに、あの堂々とした広い背中が、寂しく折れ曲がっていた。






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