One and Only

3.

 一緒に行ってくれるような友人のところにはすべて声をかけつくしていた。

『もっと早く声かけてくれればよかったのに……
 週末なんだから、予定入れちゃってるよぉ』

 みな、同じようなことを言った。でも、仕方がない。
 一応、失恋のショックから立ち直るのにやっぱり少しは時間が必要で、『チケットどうしよう』と考えることすら忘れていたのだから。

「もったいないけど、しょうがないかな……」

 アドレス帳をもう一度めくりながら、考えてみる。
 あてもなく、結婚して別に所帯を持っている兄貴のところに電話してみた。
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