ナツの思い出
準備が終わった頃には
もう家を出なければいけない時間だった。


私はお母さんに

「適当な時間までには
帰ってくるから。
いってきます。」

と一方的に言って、
家を出て待ち合わせ場所まで急ぐ。



待ち合わせの公園につくと翔はもう来ていた。



「真梨那~こっち!」

翔が呼ぶ。


「わかってるよ、
今行く♪」

私は慣れない下駄で一生懸命走っていく。


「別に走らなくてもよかったのに。
下駄、大変でしょ?」

こんな風に気を遣ってくれる
優しい翔が好き。


「いいのっ!行こう?」

「うん。はい。」

翔はそう言って手をだしてくる。

私は少し恥ずかしがりながらも、
その手を強く握って歩き出す。


この瞬間私は
幸せ、と心から思った。



そしてその幸せはいつまでも続く。

そう思ってた。


そのときまでは。


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