ナツの思い出
「はいっ!300円ね。」

おじさんがそう言うと
翔は自分の財布を出して
払おうとした。


「翔!
私のなんだから私が払うよ!!」

私はそう言って
急いで財布を出そうとした。


でも翔は私の手を止めて

「俺にオゴらせて?」

と言った。


かき氷屋のおじさんは

「おぉ、
お兄ちゃんかっこいーね♪
お嬢ちゃんオゴってもらいな!」

と盛り上げてくる。


「え、でも悪いよ…。」

「いーのいーの!
はい、300円。
じゃーねーおじさん♪」

といって
私の片手にかき氷を持たせて
もう片方の手を握って歩き出す。



「ねぇ翔、私払うよ?」

私がいくらそう聞いても、翔は

「いーの!
これくらいオゴらせて♪」

と言うだけだった。


やっぱ、優しいね翔は。


「じゃあ…素直に
オゴっていただきます。
ありがとうね♪」


「どういたしまして!
ほら、かき氷はやく食べないと溶けるよ?」

そう言われ、
私はかき氷に目を移した。


もう氷が少しずつ溶け始めている。



「本当だ!」

そう言って私はかき氷を食べ始めた。



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