ナツの思い出



季節は夏。

とはいっても、暦の上ではもう秋。


でもまだまだ暑くて太陽が照っている、そんな季節。



あの日もそうだった。


あれから、もう3年もたつんだ。




─…今年もまた私は、何も出来ないままきっとあの日を終わらせてしまう。



なにか、あたしを動かすきっかけがなければ変わらないまま、終われないままあの日が終わる。



そして夏が終わる。

あの日からすぐだったな、夏が終わったのは。



もう少しで今年も夏が終わる。


あたしはわかってた。


終わらせるにはあの日しかないことを。


わかっているはずなのに…



私には何も残っていないことを心が冷めてしまったことを思い知らされる度、

あの頃の純粋な気持ちはもう私の中にないと

あの人が好きだった私はもういないとわかる度に身動きがとれなくなる。




…あの日私が何をしたか思い出す度、心は汚れていく気がして


もう二度と、私はあの人に会ってはいけない気がした。



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