ナツの思い出
「でも…」

と私が言いかけたのを遮って、

「いい?
とにかく祭りは行くよ!
無理矢理にでも連れて行くから。
今から行くからね!」


姫架はそれだけ言って
電話を切った。



そして5分もしないうちに
家のチャイムが鳴る。


「真梨那?入るよー。」

姫架はそう言って
部屋に入ってくる。


私は何も答えない。


「ほら!今から行くよ!!」


姫架は私を立たせて
引っ張っていく。




私は姫架に身を任せた。

行きたいわけじゃなかった。


でも…乗り越えなければ
いけない壁があると思った。

そしてその壁を乗り越えるには
今日しかないと思った。


私は、前に進む決意をした。



もちろん、翔を忘れる訳じゃない。


私が犯した罪を忘れる訳じゃない。



けど、前に進まなきゃ何も始まらない気がした。




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