ナツの思い出
◆Happy time―幸せなトキ―
―あれは3年前の
夏祭りの日だった。


私はまだ15歳、
中学3年生だった。



まだ…何も知らない中学生。


世間はよく中学生を
大人と子供の境目とか言っていたりするけど

実際、大抵の人はまだ世の中のことすら
よくわからない子供だと思う。



私も例外ではなかった。



あの時は幸せすぎて
周りが見えていなかったのかもしれないな。


知らなかったのかもしれないな。



天国と地獄は常に
隣り合わせな事を。







当時、私には
同い年の翔という
彼氏がいた。


付き合っているとは言っても
まだ、手を繋いだだけの
いつまでたっても初々しいカップル。


周りからはそんな風に言われてた。



でも恋愛初心者のあたしは
手を繋ぐだけでもすごく緊張してたのを
今でも覚えてる。



その日も翔と一緒に
夏祭りへ行く予定だった。


付き合ってから半年たったのに、
まだ数えるほどしかデートはしてなくて

まして、彼氏と行くお祭りなんて
初めてだった。



そのせいもあって、
お祭りは夜からだというのに

私は朝早くから気分は最高で
のんきに鼻歌なんて歌ってた。


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