ナツの思い出
「あ、いるんだ。
どんな子?」

お母さんはそう言って笑った。


やっぱり、バレたよね。

「…別に普通の人だよ」

少しそっけなく答えた。


これはお母さんに"これ以上何も聞かないで"という合図のつもりだ。



普通…
芸能人とかではないけど…

学校では有名だった。

―私も含めて。



カッコイイ男となんのとりえもない女が
付き合っていたら当然有名になるであろう。


いや、
女が可愛かったり
綺麗だったりしても有名になるだろう。

世の中はそういうものだ。




私にだってわからなかった。


なぜ翔が私なんかと付き合ったのか。

同じクラスなのに、
話したこともない私に告白したのか。


なぜ私なんかを
好きになってくれたのか。


聞いてみたことはある。

でも笑ってはぐらかされてばかりだった。


私が、このことを知るのは
もっとずっと先のこと…


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