恋する旅のその先に
前髪を切りすぎた翌朝ほど、憂うつなときはない。
オマケに寝癖がなおらないなんてことになったらもう、人生終わりな気分。
隣の席の彼に気付いて欲しくって人気の美容室になんとか予約したっていうのに。
もうやだ。
学校なんていきたくない。
こんなんじゃ笑われちゃう。
無理ムリむり!
恥ずかしいよ。
耐えらんないよ。
消えちゃいたいよ。
やだやだやだ!!
でも──
──彼に会えないことの方が、もっと嫌。
「はぁ……」
ため息に溺れちゃう前に、わたしは家を後にする。
ほらね。
こんな日は空もどんよりねずみ色。
黒猫が前を横切るし──
寝癖はやっぱりまだ気になるし──
そういえば今日授業で当てられる日だってことに今気が付くし──
寝癖がどうにも気になるし。
あぁやっぱり学校サボりたいなぁ。