恋する旅のその先に
この町の1番高い丘に登って、青い屋根を探してみた。
誰か知り合いの家というわけではなく、ただ無性に探してみたくなったのだ。
でも案外少なくって、見渡せる範囲内に両手の指で足りるくらい。
なんだかがっかり。
ちょこん、とお尻を地面につけて膝を抱える。
少し肌寒いのは季節と風のせいだけじゃない。
華やかな周囲の同級生の会話に入っていけない自分が、少し嫌いなせい。
友人のノロケ話に満開の愛想笑いをしている自分が、情けないせい。
私にだって気になる人くらいはいる。
でもそれを誰かに口にすることなんて出来ない。
そんなことを知ったらきっと好奇の目で根掘り葉掘り聞かれてしまうから。
なんとかしてこの恋を成就させたいという親切心なのかもしれない。
けれど私にはどうしても、余裕がある人の“おせっかい”にしか思えないのだ。
そして何より、そんなことを思ってしまう自分が醜くて、醜くて、醜くて……。