恋する旅のその先に
あなたの仕事は主に外回り。
朝はすぐに出かけてしまうし帰社はいつだって定時の前後。
戻ってきてもわたしのデスクの位置からじゃあなたの背中しか見えない。
でもね。
そのほんの少し間、あなたの背中を見つめる時間はわたしにとっては宝物のようなひとときなの。
ペンで頭を掻いたり。
肩と耳で受話器を挟んで資料をめくる姿だったり。
だらり、と両腕をたらしながら天井を仰ぐところだったり。
そのなんでもない仕草を眺めている時間が好き。
そしていつも思うの。
引き出しに常にひそませているお菓子でもあげようかな、とか。
あなたの好きな紅茶を淹れてあげようかな、とか。
さりげなく後ろを通って「お疲れ様、がんばってね」と声をかけようかな、とか。
そんなことを毎日、毎日。