恋する旅のその先に
それでもわたしは、またあなたと距離が近付く度に鼓動を速める。
周りのみんなは気軽に「早くコクっちゃいなよ!」なんていうけれど。
あなたの「落ち着く」のひとことがわたしに魔法をかけちゃったから。
ここからあと1歩を踏み出す勇気にブレーキがかかっちゃう。
どれだけ鼓動が速くなっても──“速くなりすぎて止まる”なんてことはない。
それはまるで、決して振り切れることなんてない“メトロノーム”のよう。
互いのリズムが違うから、同じメロディは弾けない。
でも──
それは“変えられない”わけじゃないから。
たとえ魔法がかかっていてもそれを解くことさえ出来れば。
ただ、ねぇ?
その処方薬がなかなか見当たらないのが問題。
ホントのメトロノームなら指先ひとつで自在に操れちゃうのにな。
はぁ……。