月と太陽
ふと、エセルは疑問に思っていたことを言ってみた。


「屋敷の一階の奥に扉が二つあったでしょう?私は怪しいと思うんだ」


その言葉を聞くとフェリアはうーんとうなだれた。


「確かにそうね。でも……」


フェリアは一拍、間をとると続けた。


「あの屋敷にいる人たちはとても親切よね。レオル隊長も。身元も分からない私たちのためにあそこまでしてくれるんだから」


フェリアが嬉しそうに言う。


そんなフェリアとは真逆で、エセルはうなだれたままだった。
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