月と太陽
裏庭にある井戸から水をくみながらシャインは言った。


「分かりませんはぐれてしまって……」


そう言ってシャインは何も言わなくなった。


エセルはシャインの気持ちが痛いほど分かった。


自分も似たような事情をかかえているからだ。


辺りは夕日が沈んでいて薄暗い。


かろうじて、お互いの顔が見えるぐらいだ。


水をくみ終えた二人は屋敷に戻った。


「少し喋りすぎました。すみません」


シャインが申し訳なさそうに言う。


こんなにエセルに喋ってくれたということはエセルに何か感じるところがあったからだろう。
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