月と太陽
これまでにサスティンが感情を乱した事は本当に数少ない。


その中でも“アルス”の名がよく出る。


大都市アルスにはサスティンのお父さんがいる。


アルスはサスティンにとって自分の故郷であり懐かしい場所のはずだ。


しかしサスティンは街一番の名家であり、その長男であるという地位を嫌っていた。


家訓にこだわり、自分の意見を聞こうとしない父には特に敵対心を抱いていた。


六歳にして城に連れてこられてからというものの、最初は誰ともしゃべらなかったのだが、次第に心を開いていった。


しかし、家の名が出たり、アルスという言葉が出ると感情が乱れてしまうのだ。
< 141 / 201 >

この作品をシェア

pagetop