月と太陽
第一夜、少女エセル
パタンっ。
少女は本を閉じてベットに腰をかけた。
少女の名はエセル。
月の首都、エメル城の衛兵隊長である。
歳は十六歳で、しっかりしていて、頭も冴える。
とても十六には見えない大人びた少女なのだが、それは過去の事が一つの原因にもなっていた。
両親は戦争で死んだ。
行く場所がなかったためこのエメル城に連れてこられて日々、厳しい訓練をこなしている。
二人が残した物は、優秀な魔力といつもエセルが身につけている青い石のペンダント。
両親が死んだのはエセルが六歳の時であった。