月と太陽
ギィィ。
きしむ音がして扉がゆっくりと閉まった。
「行ったか…」
サウラーの言葉が静かになった部屋に響く。
そんな中、サウラーの後ろに立っていた小間使いの一人が「はい」と静かに答えた。
「もう行くのか?アイリス」
サウラーが振り返って小間使いに言った。
アイリスと呼ばれた小間使いは先ほど、三人が座っていたソファーにゆっくりと腰を下ろした。
そして少し悲しそうに「ええ」と答えた。
「そうか…次はどこへ?」
サウラーが聞いた。
「“ユサ”へ行こうと思っています。あそこなら私のお目当てがあると思いますので」
アイリスがうつむいて言った。
するとサウラーは悲しそうに口を開いた。
「そうか…この二年間、働いてくださってありがとう。本当に助かったよ」
「いえ、こちらこそいろいろとありがとうこざいました」
アイリスが手をふりながら言う。
するとそんなアイリスを見ながらサウラーが言った。
「では、シャインの事、頼みましたぞ」
「もちろんです」
アイリスが微笑みながら言った。