月と太陽
エセルは驚いて壁に背を向けた。
まるで自分の心を読まれているみたいだ。
少女は小さくクスッと笑うと冷たい瞳で言った。
「あなたはいつも自分を一人ぼっちだと思ってる。七歳の時に二人が死んでからずっと。閉ざした心に鍵をかけて、思い出さないようにしているのよ。人に自分の気持ちを干渉されたくないから」
エセルは唇を噛んだ。
「そして恐れているのよ。あの二人のようにみんな、自分の前からいなくなるんじゃないかってね。全ての事に目を背けて逃げても何も変わらないのに」
「あなたに私の何がわかるっていうの?」
自分に背を向けている少女に向かってエセルは叫んだ。