月と太陽
そこにいたのはエセルの両親だった。
優しく微笑みながらエセルを見ている。
エセルは言葉を詰まらせた。
誰よりも会いたくて、誰よりも愛し、愛してくれた二人が今、目の前にいる。
言いたい事はたくさんあるのに言葉は出てこなかった。
言葉を詰まらせながら必死に聞いた。
「どうして?今までどこに行っていたの?」
涙があふれてくる。
両手で抑えながら二人を見つめた。
父さんと母さんは生きてたんだ!
死んでなんかいなかった。
そうよ。
二人はいなくなっただけで私をおいてなんかいなかったんだ!
エセルは泣きながらも優しく笑った。
二人はエセルを見つめながら静かに笑っている。
九年前のあの日と同じように。
「そのペンダント、持ってくれてたのね」
母がエセルのつけているペンダントを見ながら言った。
エセルはコクッとうなづいた。