月と太陽
エセルは一歩後ろに下がった。
光り出した父と母の体は消えかけている。
その中で母は言った。
「そう――ならその任務を果たしなさい。私たちはそんなあなたをずっと見守っているから」
母は笑う。
昔と変わらぬその顔で。
消えていく二人を見つめるエセルの目に涙がにじむ。
しかし必死でこらえた。
涙は流さない。
それはエセルの小さな約束だった。
母さんと父さんに……
私は悲しくないよって、そう知ってほしかったから。
消えてしまった二人を最後まで見届けるとエセルは歩き出した。