月と太陽
これで大体の事は理解できた。
それでもエセルには疑問があった。
それを口に出して聞いてみた。
「では、試練で会った女の子や私の両親は……」
「ああ、そうだ。幻にすぎん。試練はその受ける者の最も不安定なところ、不安、恐れ、疑いなど人の闇に染まっているところを出し、それに打ち勝てるかを試すためのものじゃ。そのため洞窟で会うものは人それぞれちがうのだ」
エセルは下を向いた。
あの時会った父と母も偽りに過ぎなかったのだ。
それを思うと気が重くなった。
しかしあのまま、両親の元へ行っていたら自分はこの試練を合格できなかっただろう。
あの時、支えていてくれる人々がいたから自分は心の闇にのまれなかった。
エセルは心の中でみんなにお礼を言った。