月と太陽



しばらく間を開けた後、サウラーが真剣な面もちでゆっくりと続きを言った。


「そこでお願いしたいのだがレオルを君たちの旅に同行させてやってくれないか?」


その言葉を聞いた途端、レオルが慌てて言う。


「そんな事私は聞いていません!
なぜそのような事を?理由を教えてください」


いつも落ち着いた印象のレオルがこんなに大きな声で喋るのをエセルは始めて聞いた。


サウラーがレオルに向き直った。


「私の前で敬語はよい。どんな立場であってもそれ以前に私たちは親子なのだからな」


そう言ってサウラーは温かく微笑む。


それは家族だけが知っている町長の笑顔だろう。
< 196 / 201 >

この作品をシェア

pagetop