月と太陽
レオルはそんな父を見てうつむいた。
「わかった。でも父さん、なぜだ?俺はそんな事を頼んだ覚えはない」
顔を上げて言った。
しっかりとした声だ。レオルの意志が伝わってくる。
サウラーは下をしばらく見つめながら言った。
「お前の小さいころからの夢は大臣になる事じゃなかったのか?そのためにこの街で訓練を続けていたんだろう?」
問いかけるサウラーに何も言わずレオルはうつむいたままだ。
サウラーも自分の息子に後を継いでもらいたいに違いないだろうに……
エセルは思った。
サウラーはレオルをしっかりと見ながら言った。
「自分のやりたいことをしなさい。実は前々から兄さんには言っていてな。快く受け入れてくれた。この三人と共に旅をし、学ぶこともあるだろう。エメル城まで共に旅をして大臣に学べることをしっかりと教え手もらいなさい」
「しかしこの街の兵は…」
「これは私からのお願いだ。レオル」
そう言うとサウラーはとても温かい声で言った。
「この街の事は私にまかせなさい。兵はいなくなっても優秀な魔導士がこの街にはたくさんいる」
それを聞いたレオルは一瞬、サウラーと目を合わせた。
そして真っ直ぐ前を向くとキリッとした声で言う。
「分かりました」