月と太陽
ぐっと伸びをしている時だった。ふいに扉をたたく音がした。


こんな朝に…


誰かしら?


エセルは声に答えようとすくっとベッドを立った。


しかしこちらの返事を待たずして先に扉を開けて入ってきたのは、肌が白く、緑色の澄んだ瞳をした可愛らしい少女。


目が大きく整った顔立ちは年齢よりも少し大きく見える。


その少女はエセルの姿を見るやいなや少しいたずらっぽい表情を浮かべた。


「若き衛兵隊長様はまだお眠りだったのですか?」


クスクスと少女が笑う。


「なんなのフェリア。からかいに来たの?」


エセルはむっとした顔でフェリアに言ったが、これもいつもの会話だ。


しかし今回はなぜかエセルの言葉をまるで聞いていなかったかのように先ほどとは違う真剣な顔つきになった。


どうしたのだろう、とエセルが何か言いかけた時、フェリアは低い声のトーンで言った。


「ツェーラ大臣があなたを呼んでいるの」
< 20 / 201 >

この作品をシェア

pagetop