月と太陽
その老人を見た瞬間、三人はスッと立ち軽く会釈した。


何度もしている行為なので、最早反射的なものになっている。


「みな、忙しいというのにすまない」


老人はしわがれた声で言った。


すると三人は座り、老人も一番前の席に座った。


重々しい空気が流れ始め、先程の楽しげな雰囲気はもう完全に消えていた。


老人は真剣な顔をして手を組んだ。


「今日、君たち三人を呼んだのは“太陽”の事だ」


重々しい口調で言った老人の顔はよく見ると疲れきっているようで少しやつれている。


エセルはそんな表情を見ながら眉間にしわを寄せた。


「太陽の事ですか……。何か新しい情報でも入ったのですか?ツェーラ大臣」

エセルが問いかけるように言った。


ツェーラ大臣はそのエセルの言葉にぴくっと反応したが、疲れきったように話し出した。


「ああ。太陽に潜り込ましていたこちらのスパイから新たな情報が伝えられた。その内容というのは……」


誰かがごくりと唾を飲み込む音が聞こえた。


「太陽が全面戦争を仕掛ける用意を着々と進めているというものだ」
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