月と太陽
「えっ」三人の声が重なった。


思わず大きな声で声を漏らしてしまったが、それはフェリアやサスティンも同じようだった。


あのサスティンでも驚きと動揺を隠せていないのだ。それ程、それは予想外な事だった。


ツェーラは驚いているエセル達を見て、笑顔で続けた。


「先手を打った方が有利だ。だから、一刻も早く攻撃を開始したいのだ。そのために村や街に君たち三人が行ってもらい、全面戦争を始める事を知らせ、その準備を行ってほしいという事を伝えてほしいのだ」


するとフェリアがあわてるようにして思った事を口に出した。


「それなら伝書鳩を使えばいいのではないですか」


しかしツェーラは首をふりながら深刻そうな顔で言う。


「この時代だ。誰でも疑える。伝書鳩はあまりにも危険すぎる。それに街や村に直接行かなければならない理由はもう一つある。それは君たちに街や村の“試練”を受けてほしいのだ」


ツェーラは三人の表情を見ながら慎重に言葉を選ぶように口に出した。


“試練”とは衛兵隊長になれるほどの実力を見極める、いわゆる試験のようなものだ。


街や村、それぞれ内容が違っていて合格するのはとても困難な事だといわれている。


エセルは王や大臣の推薦で衛兵隊長になったため試練を行った事はないが試練の事はよく耳にしていた。
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