月と太陽
「確かに本当に急だったものね。それでも馬がいればなぁ。でも馬は城にしかいないし……。どうして城にしかないのかしら」


「それは必ず街や村にスピル[高速移動魔法]を使える“移動屋”ががいるからだろ」


サスティンがふぅとため息をつきながら言った。


エセルはそれを聞くと下を向いてつぶやいた。


「この三人の中のひとりでもスピルが使えたら街まですぐつけるのに…」


「はぁ…」


三人のため息が重なった。


しばらく三人が下を向いているとすくっとサスティンが立った。


「よし!行くぞ。こんな風に言っても何も変わらないんだからな」


その言葉を聞くとエセルとフェリアもすくっと立ち上がった。


「それもそうね」


エセルがにっこりと笑いながら言った。
< 44 / 201 >

この作品をシェア

pagetop